トミントール 1967-2000 GM レアオールド
蒸留:1967年
瓶詰:2000年 33年熟成 ファーストフィルシェリーバット 40%
Nose
香り立ちは強くないが、穏やかな麦と魅力的なベリー、ディル。
Taste
コーヒー、麦チョコのような素朴な甘さ、ドライラズベリー、シナモンやペッパー。徐々に香ばしさ、軽くピートが現れ、余韻にふわっとリンゴが香る。
Rating
Very Good
ライト~ミディアムボディで樽感もファーストフィルにしてはそこまで強くなく、良いバランス。オールドらしい素朴な麦感が素敵。
スペイサイドでもちょっと地味目なトミントール、比較的新しい蒸留所で1964年から操業を開始。このボトルもそうですが、操業開始直後の1960年代後半蒸留は結構目にする機会が多く、また好印象なものが多いイメージです。
よって個人的に結構好きな蒸留所で、特ににオールドボトルは滋味深い麦感と植物系のニュアンスが特徴的で、軽めのボディと相まってしみじみとうまい、渋い蒸留所です。
しかしあたらためて考えると最近のボトルや、オフィシャルはまだ飲んでいなかったので、そのうち飲んでみようと思います。
キルブライド 1989-2017 28年 HNWS
蒸留:1989年
瓶詰:2017年 28年熟成 51.1% 総ボトリング168本
Nose
しっかりと、それでいて優しいピートスモーク、潮風、ドライレーズン、プラム。
Taste
濃厚な魚介系旨味、葉巻と程よいタンニン、熟成感のあるドライフルーツ、プラム。
Rating
Very Good
強すぎ、弱すぎず、シェリーとピートの絶妙なバランスが秀逸。相応の熟成感があり、飲みごたえ抜群で、アルコールの刺激も全く感じられない。
場所は台湾/麦村、そこにバーテンダーやカウンターは無く、自分でボトルを選び、レジでただ注いでもらういたってシンプルなスタイル。故に価格もリーズナブル。
今回いただいたのはキルブライド。キルブライドとはラフロイグの仕込み水に使われる湖の名前。ということでこれがボウモアやアードベッグであるはずはありません。
見慣れないボトルですが、こちらは台湾でスピリッツやワインのインポーターをしているHome Need Wine & Spirits社(鋐釀酒坊)のプライベートシリーズである、飛禽羽獣系列の第5弾になります。
はい、私も初めて知りました。
このシリーズ英語だとFlight and Feathers Seriesとなるらしいのですが、中国語表記の方が断然かっこいいですね。これまでのリリーズはカバランやスペイサイドリージョン、ブルックラディ等の比較的新しい蒸留年の物でしたが、ここにきてラフロイグの1989という何だか日本のモルトバーが同じようなスペックのボトルだしていたような気もしますが、素晴らしいボトルを出してくるあたり台湾のウイスキー市場の充実ぶりを感じます。
この日は他に2杯飲みました。以下超簡単にコメントします。
ロングモーン1989-2011
青りんご、スモモ、とってもフルーティ。それからバニラ。
ブナハーブン1980-2014
炒った玄米、りんご、バター、ちょっとミント。
品揃えは80年代後半から90年代が中心ですが、手ごろなお値段で、ご当地ボトルもそろっている、台北でおすすめできるモルトバーのひとつです。
ロッホサイド 1981-2010 27年 TWE オロロソシェリーカスク
蒸留:1981年
瓶詰:2010年 27年熟成 オロロソカスク 57.5%
Nose
黒すぐりやレーズン、柑橘系やパッションフルーツ。熟成感のあるドライなフルーツとフレッシュなものが交互にやってくる。
Taste
レーズンバター、グレープフルーツ、アニスやコリアンダーのようなスパイス、グラッシーなニュアンスも感じ取れる。ホワイトペッパーや柑橘系のフルーツが長く続く。
Rating
Ecellent!!!
The Best Lochside Ever!
飲んだのは豊富なロッホサイドとレダイグのコレクションでお馴染みThe Swan Song。今回のボトルはその中でもとっておきという秘蔵のもの。
これ素晴らしいです。長期熟成のオロロソとあってまず芳醇で熟成感のある赤いフルーツが主張するのですが、時間経過とともにフレッシュな柑橘とトロピカルフルーツが加わり複雑で魅力的な香りに。味わいは香りと同様のフルーツ感に、オイリーなテイストとスパイスが加わりやはり複雑で、かつそれぞれがバランスがよくまとまっています。
個人的には数ある閉鎖蒸留所の中でもロッホサイドは特にお気に入りですが、今回のボトルはその中でも飛びぬけて美味しいグッドドラムでした。
バルブレア 1964 18年 GM コニッサーズチョイス ブラウンラベル
蒸留:1964年
瓶詰:1972~1973年(記載無し) 18年熟成 加水40%
Nose
クリーミーでモルティ、サワークリームのような爽やかさがある。
Taste
濃厚なクリーミーさと甘酸っぱいパイナップル、ほんのりと火をつける前の葉巻のようなピートを感じ、ミントの清涼感が引き締める。
Rating
Very Good
相当なオールドボトリングで加水40%ということもあり、どうかなと思ったのですが全くの杞憂でした。期待通りのフルーティーさとクリーム感が素晴らしい。
バルブレアは個人的に好きな蒸留所で、特にバーボン樽系のボトルはフルーツ+クリームみたいな印象を受けることが多く、万人に分かりやすい美味しがあると思います。またはっきりとしたミントのような清涼感があるものが多いのかなと感じます。
こちらはバルブレア1990-2016のメゾンドウイスキー向けボトルですが、濃厚なバナナクリームとミント、ミント、ミント!大げさに言うとこれだけでミントジュレップかといほど。
同じオフィシャルでもヴィンテージやリリースによってはよりシェリーに振れていたり、そうすると印象もガラッと変わるのがまた面白いところです。
熟成年数でなくヴィンテージ表記になっていることも特徴で、他にはグレンロセスも同様ですがこちらはオーナーが変更となり廃止となる方向です。このような表記はメーカー側からすると管理が大変だと思うのですが、消費者からするとひとつ情報が多いわけで、是非継続していってほしいと思います。
アトラス(ATLAS)/シンガポール 世界屈指のジンとシャンパン。
アトラスはAsia Top50 Barの常連で2018年も4位にランクインしたシンガポールの人気バーです。
色々と特筆すべきところはあるのですが、まずは内装が凄い。ホテルの1階がアールデコ調に改装されており、とにかくゴージャス。聞くところによると5億円以上かかっているとか。バーに寄らない観光客もよく外から写真を撮っています。
お酒のラインナップは圧倒的で、ジンだけで1,300種類、シャンパンも250種類以上。そんな膨大なボトルは、それぞれを大量にキープできるはずもなく、ほとんどの銘柄はおひとり様1ショット限りです。
古いものでは1910年代蒸留のものから、地域もペルーや南アフリカ、タイ、アイスランド等そんなとこにもあるんだというほどバラエティに富んでいます。
右から2本目が1910年代のプリマスジンでこちらの最古ボトル。なんだかいがいとモダンなデザインですが、今から100年前のボトル。それなりにお値段しますし、さすがに劣化して美味しくないかもしれませんが、試してみたいですね。こういうのはロマンです。
それでは以降は、私が頂いたカクテルをご紹介します。
①クラシックマティーニ / プリマスジン1970年代流通ボトル
少しだけストレートで試したのですが、穀物の甘さが際立っていてふくよかでうまい。現代の切れ味重視なジンとはベクトルが違います。
肝心のマティーニですが、これがなんと、ぬるい!!!
好意的に解釈すれば、クラシックスタイルということで冷蔵技術が発達していない時代の、ぬるい味わいを再現したことになるのかもしれませんが、個人的にはもう少し冷やしてもいいのにと思ったり。まぁオールドジンの有機的な甘さが生きているといえばそうかもしれません。
②フレンチ75 / スターオブボンベイ
スターオブボンベイは175カラットのスターサファイヤから着想を得たプレミアムジンで、通常の10種類のボタニカルに加えてイタリア産ベルモットとエクアドル産アンブレットシードが使われています。蒸留も1.5倍の時間をかけゆっくりで、より複雑で深みのある味わい。
いただいたフレンチ75は、リッチで複雑なジンの香味と、シャンパンの新鮮で華やかな味わいが調和していて美味しかったです。これはよく冷えてる。
③ネグローニ / フォーピラーズ レアドライジン
フォーミラーズはオーストラリア産で、ボタニカルも地元オセアニア産が中心。なかでもタスマニア産ペッパーベリーが効いています。
このネグローニはとてもドライでスパイシー、柑橘との相性も良い。
スイーツにもあうだろうということで、バナナのフリット、ラムゼリー添えを。
うん、ラムゼリーがうまい!
④ジントニック
ジントニックは色々種類があるのですが、普通に頼むとこのClassic G & Tがでてきます。ジンは恐らくプリマス、トニックはこちらのオリジナル。
美味しいんですが、ジンの入ったグラスとトニックのボトルが別々に供されるホテルスタイルでちょっと残念。本音を言えばジントニックとはいえプロに作ってもらいたいものです。そういえばこのトニック持ち帰れるのか、聞きそびれてしまいました。ダメかな?
こちらはCold Brew G & T。オールドトムジンにシチリアレモントニックと水出しコーヒー。これがかなり美味しくて、コーヒーはエグミがなくてコクだけが強調されていて、そこにレモントニックとピールが合わさって絶妙です。オレンジチョコレートのような感じ、これ良いです。
フードも充実していて、ランチはデザート含め3品でS$50以下と、かなりお値打ちで味もよくお勧めです。お茶等のノンアルコールも相当種類あり、平日の昼間はお茶だけのグループもよく見かけます
一応ウイスキーもあって、マッカランが1956年から1年刻みで80年頃まで揃っています。それなりにお値段しますが、この当たりのボトルを全てグラスで飲めるは良いですね。
正直なところ大箱なバーだけあってカクテルはつくるバーテンダー次第なところがあるのですが、ジンとシャンパンの種類は圧倒的で他の追随を許しません。私はそこまでではないのですが、真のジンラバーであれば様々なボトルをストレートで飲み比べするなんてことも面白いかもしれませんね。
シンガポールで行かなければならない場所のひとつです。お酒好きも、ジン好きも、そうでない人も、ぜひ。
ラフロイグ 1960 40年 / ラフロイグ 1987-2010 ジャックウィーバーズ オールドトレインライン
蒸留:1960年 40年熟成
42.4% ボトルNo.094/300
フレッシュなピーチ、柑橘類、ちょっとバナナ、秋に稲わらを焼いているかのような懐かしい香ばしい香り。本当に優しいオールドピートがそこにある。
全く劣化しておらず、新鮮なフルーツのニュアンスが年月を感じさせない。
麦を強く感じるコクのある甘さと、潮っぽい海の旨味。
繊細で素朴な味わい、余韻にりんごのようなさっぱりとしたフルーティさ、穏やかなピートが長く続く。
【Rating】
Ecellent!!!
蒸留:1987年
瓶詰:2010年 22年熟成
バーボンバレル 50.2% カスクNo.5094 全214本
グラスに注がれた瞬間から立ち込めるヨード香とフルーツ。ピートは潮気を含み、穏やかだがはっきりと輪郭がある。
味わいは酸味のある柑橘系のフルーツと、ミネラル、焙煎した麦の香ばしさに深煎りコーヒーが加わる。徐々にフルーティさが増してゆき、ピーチのニュアンスも。アルコールも50%でボリューム感があり、現行とは一線を画すしみじみとしたピートがなんともたまらない。
【Rating】
Ecellent!!!
フルーティさに定評のあるオールドラフロイグですが、そこにあるのは南国系というよりもピーチのような透明感のあるものと、柑橘。また
ともにピートが味わい深く素晴らしい。
1960はかなり度数も落ちていてコンディションが心配でしたが、まず香りがフレッシュで一安心。味わいは極めて繊細でエレガント。これはもっと時間をかけて、2ショット、3ショットと飲み進めるほどよりその真価を発揮するのだと思います。もっと飲みたい・・・
1987はドイツのボトラー、ジャックウィーバーズのオールドトレインライン。正直に言うと、ショット単位ではこちらの方が好きかもしれません。蒸留、熟成が若いだけあって香味がよりはっきりと輪郭があり、オールドラフロイグ感を存分に味わえました。
両者はオフィシャルとボトラー、1960年と1987年、飲み比べというには少々隔たりが大きいような感もありますが、しっかりと共通項を見つけることができました。
余談
これらを飲んだのはお気づきの通りオールドアライアンス。ラフロイグも多種多様揃っているのですが、ジャックウィーバーズについてはバーマンのお勧めに従いました。そのバーマンなんですが、実はイスラム教徒でお酒が飲めません。飲ませんが香りは嗅げますということで、ノージングのプロフェッショナル。果たしてお勧めの通り素晴らしいラフロイグを頂くことができ、またいつも的確にお勧めをだしてくる彼には本当に脱帽しました。
ポートエレン 1983-2010 27年 オールドアライアンス/ロストインザウェアハウス
蒸留:1983年
瓶詰:2010年 27年熟成
カスクNo.327、限定31本、54.8%
Nose
潮っぽく力強いピート、海岸で焚火、レモンピール、ナツメグ。時間経過とともに柑橘系フルーツの香りがよりはっきりと主張する。
Palate
パワフルでエレガント、柔らかな舌触り。心地よいスモークと、魚介系の旨味、シトラスオイル、ミネラル。アクセントにフレッシュなミントを感じる。長いピートの余韻、蜂蜜の甘さが舌に残る。
Rating
Excellent‼
オールドアライアンスが新たにボトリングしたポートエレン。ラベルのモチーフはシンガポールの国鳥Crimson Sunbird(タイヨウチョウ)。
上記のプライベートボトルと同じく、蒸留は閉鎖年の1983年。しかし、今物はボトリングが8年早く2010年の27年熟成となっています。味わいは同じ系統で、フレッシュでパワフルなピートに柑橘系フルーツのバランスが心地よく、どっしりとコクのあるうまみも楽しめます。比較すると本ボトルはよりオイリーと感じます。いずれも甲乙つけ難い素晴らしいボトルで、飲み比べするのも面白いでしょう。
このタイミングでなぜ2010年ボトリングが出てくるのかが興味深いところで、またボトリング本数も31本と極端に少なくなっています。副題がThe Lost In the Warehouseということからも、どこかの倉庫の片隅にに忘れ去られていたボトルかもしれませんね。
このCrimson Sunbirdボトルは同時にもう1種類でており、そちらはアードベッグの1975-2005で、同じく24本のみのボトリング。早めに飲みに行かなければなりません。