台湾のモルトバー① The Malt (麦村)
台北のモルトバーと言えば、この麦村と後院が有名です。今回は麦村についてです。
場所はこのあたり、101からわりと近いところ。後院とは歩いて行ける位置にあるので、ついつい二件はしごしてしまいます。
こちらはバーといってバーテンダーがいるわけではなく、とてもカジュアル。棚にあるウイスキーを自分でとって、カウンターでついでもらいます。カウンターからお席には、ご自分でどうぞ。
なかなかの品ぞろえで、特に台湾のボトラーズ物が結構あって、折角だからと色々飲んでみたくなります。スペイサイドとか、アイラとか、地域別に置かれているので、わかりやすいです。
前段はこのへんで、この日飲んだボトルのテイスティングです。
クライヌリッシュ 1997-2017 ドランクンマスター
Details
ホグスヘッド、57.1%
19年熟成 1/108
気分の良いボトルNo.1
Nose
濃厚なバター、青りんごや白ブドウ、ライチといったフルーティーさ、ミントの清涼感。
Taste
蜂蜜、シナモン、バニラ、ペパリーでオイリー。フィニッシュにかけてライチ的なフルーティーさが際立つ。
Rating
Very Good~Excellen
Thought
種類が多いんで最初の1杯目を決めかねていたのですが、これを見つけて即決断。だって私水滸伝大好きなんです。これ全然知らなかったんですけど、The Whisky Agencyの梁山泊シリーズらしいです。で、このラベルのモチーフは、皆さんご存知、天間星、公孫勝。得意の幻術で何度も梁山泊を救った豪傑です。シリーズ物みたいなので、他にもあるのか気になるところで、呼延灼とか林中とかあったら絶対欲しいですよね。
そんなことはさておき、このクライヌリッシュ、かなり美味しいです。個人的に90年台中盤以降のクライヌリッシュには独特なミント的な清涼感があると思っているのですが、このボトルはそれに加えてフルーティーさが出ていて素晴らしいです。そしてこのラベル。なんとか手に入れたいのですが、台北の酒屋を回っても見つけられませんでした。見つけた方ご一報ください。
アードベッグ 1991-2014 ダグラスレイン
Details
ホグスヘッド、53.1%。
Nose
ウッディで甘いバニラ、かなりスモーキー、煙突。
Taste
味わいもとても甘く、煙たく、シガーのよう。とても長く塩気のあるピートが続く。
Rating
Very Good
Thought
2杯目はアイラにしようと思っていて、これは割とすぐに決まりました。ボトラーズのアードベッグって多分飲んだことが無かったので、ちょっと高かったのですが、物は試し。
感想としては、ボトラーズでも、アードベッグはアードベッグ、むしろオフィシャルよりらしいのではないかと思うほど個性が際立っていて、スモーキーでピーティ。それでいて20年程度熟成しているだけあり、程よく樽感や熟成感があり、バニラ風味の甘味がよく合います。
実はオフィシャルのアードベッグ、特に加水のものはスモーキーなだけで薄く感じてしまいあんまり好きじゃないんですが、このカスクストレングスはベールに包まれていた本当のアードベッグらしさを味わえたような気がして大変満足です。
スペイサイド 1977-2015 Art Taiwan - Club Qing
Details
46.8% 37年熟成
Nose
天然酵母のパン、黒糖、リンゴ。
Taste
モルティ、コクのあるフィリングしたリンゴ。長熟だが全くヒネておらず、時折瑞々しいフルーティーさも感じる。柔らかい口当たりでアルコール感なく、極めてスムーズ。
ネガティブなシェリー樽の要素は皆無。
Rating
Excellent‼
Thought
最後はこちら、見るからにそそられますよね。Art TaiwanとClub Qingの名前が書いてあって、後者は有名な香港のモルトバー。じゃあArt Taiwanて何?と聞いたところ、ウイスキーエージェンシーの台湾代理店だそう。ラベルも台湾と香港の夜景です。このシリーズいくつか置いてあって、東京とか上海とか、都市を題材にしているようですね。
味はもうほんとに美味しくて、シンガポール人が良く使う表現で言うと、ラブリー。樽感もこれだけの熟成にして強すぎず、極めてバランスよく仕上がっています。
普通この手の蒸留所名が無いスペイサイド表記は大体グレンファークラスと相場が決まっているのですが、ネットで調べたところ、家族経営のところとは違うキャラクター、とあります。となるとこの感じはマッカランかエドラダワーかとなるのですが・・・私この手のブラインドが本当に苦手なので、分かりません。
一応以前飲んだミシェルクーブレみたいにエレガントで、フルーティーな味わいから、エドラダワーと推測します。だれかこっそり正解を教えて下さい。
この麦村、路面店でカジュアルではあるのですが、それにしても若いお客さんが多いのです。特に驚いたのは、まだ若い20台前半と思われるようなカップルが、二人でストレートで飲んでいたことで、日本ではなかなか見かけませんよね。まず日本ではカップルがデートでモルトバーに行くなんて殆どあり得ないですし、まして20代前半でストレートで飲むなんて、よっぽどですよ。(よっぽどの人、すいません。私も同じ穴のムジナです。)
例外として、私のモルト好きの某後輩は、ほとんどお酒が飲めない奥さんを有楽町のキャンベルタウンに連れていったことがあるそうですが、彼は特別です。
実は台湾、人口こそ2,000万人強ぐらいですが、ウイスキーの消費量は日本より多いそうです。一人当たりが飲む量ではなくて、総消費量が、です。日本も今でこそウイスキーブームとか言っていますが、人口25%以下の台湾に負けているとは、台湾人から見たら何がブームかといったところ。
別に飲む量を競っているわけではないですし、そうなるとインド人には勝てないのですが、消費量ってのはメーカーにとっては非常に重要で、沢山売れる国により力を入れるは当然のこと。日本市場に美味しいウイスキーが沢山供給されるためには、やっぱりみんなで沢山飲む、飲んで応援!、しかありませんよね。
若いときからウイスキーを嗜む、そんな文化が台湾にはあって、ちょっとうらやましいと思いました。
いつものように、話が明後日の方向にいってしましましたが、こちら麦村、セルフサービスということもあり、お値段も極めて良心的。台湾旅行の際に、カバラン帰りにもでいかがでしょうか。