ウイスキーレポート

シンガポール在住の酔っ払いのウイスキー備忘録です。

アジア 50 ベストバー 2018 (ASIA'S 50 BEST BARS 2018)

日付変わって昨日5月3日、シンガポールで2018年のアジアトップ50バーが発表されました。この賞がいつから始まったのかは把握していませんが、私は昨年2017年からチェックしておりまして、シンガポール、香港、台湾を中心にそれなりにまわってきました。

ランキング入りしているお店の半分ぐらいは、我々日本人がイメージする所謂銀座のバー的なものとはちょっと違っていて、ワイワイガヤガヤ、決められたいくつかの創作カクテルを選んで飲むというスタイルで、もしもバーと言えば銀座!という紳士淑女が、アジアのトップ50なんてさぞかしオーセンティックなんだろう、と想像していくと、あまりのカジュアルさに拍子抜けしてしまうかもしれません。

ですが実際私も個人的にはオーセンティックな静かなバーが好きではあるのですが、こういったニュースタイルのバーについても悪くないと思っていまして、想像性豊かなギミックあるカクテルは目に楽しく、味わいも独創的。みんなで楽しくお酒を飲むには最高の場所だと思います。欲を言えばもう少しバランスよく、各国からオーセンティックなバーがランクインしたら良いのと思っていますが、なんならその役目は拙稿に任せていただければと存じております。いえ、ほんの冗談です。

そんなアジアトップ50バー、では一体だれが選考しているのかというと、伝え聞いた話では協賛するお酒メーカーと、選ばれたバーテンダーからの投票によって決めているそうです。そうなると当然お酒メーカーは営業的な視点があるでしょうし、バーテンダーだって人のつながりや好き嫌いもあるでしょうから、そういった意味では政治力もある程度必要になってくるのかもしれません。

そういうわけで、この50店がすなわちアジアのトップとは思っていませんし、もっと素晴らしいバーもいっぱいあるのですが、勿論ランクインするからには何かあるわけで、行って損は無いと思います。見知らぬ国で初めてのバーに行くのは少し怖いもの。そんなときこのランキングを参考ににするのはとても良いと思います。お店側も外国人に慣れているので、きっと楽しい経験ができるはずです。

 

というわけで長々と書いてしまいましたが、今回はランキング入りしたバーから2店ほど紹介したいと思います。

2018年アジア19位 オペレーションダガー/シンガポール (Operation Daggar)

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Hot&Cool

その名もホットアンドクール。なんだか射出成型みたいです(なんのこっちゃ)。
上半分は冷たいパイナップル、ラベンダー、ココナッツ、下半分は暖かいホワイトチョコレート。味わは濃厚な甘みとフルーツの酸味が調和していて確かに美味しいんですが、あんまりお酒感はありません。それよりもこのカクテルの神髄は舌触りで、二つの層が同時に、舌の右と左からそれぞれ独立して入ってくるものだから、暖かいんだか冷たいんだがよく分からなくなる、これぞまさに新食感。とても面白いカクテルです。女性受けしそうな1杯。

 

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Macadamia

こちらはマカダミア。多分ウイスキーベースにローストして削ったマカデミアナッツとフェンネル。この削り節がふわふわで美味しいのです。

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メニューはこんな感じです。お任せ3杯コースと5杯コースもあります。全体的に甘めで女性には良さそうですが、男性一人でくるようなところではありません。音楽もかなり大きめになっていて、みんなで楽しむ感じです。

昨年は一桁台のランクだったように記憶しています。

 

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 カクテルはどれも独創的。シンガポールの最先端を行くバーですね。

 

2018年アジア5位 オールドマン/香港 (The Old Man)

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こちらは17年8月オープンのまだ新しいバー。今回初めてのランクイン。私は今年の1月にお邪魔しましたが、先見の明がありますね。ではなくて、香港のバーテンダーにお勧めと紹介していただきました。

ここは音楽が鳴り響く感じではありません。店名から分かる通りテーマはヘミングウェイ。カウンター中央の銀色の部分は冷えていて、いつまでも冷たいままで楽しめるよう工夫されています。正面に見えるヘミングウェイのモザイクアートはお店を作るときにでた廃材で作ったそうです。

 

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カクテル名も全部小説のタイトルからなります。

メニューの裏に、ヘミングウェイは甘い酒が嫌い、だからうちのカクテルも甘くない大人の男の酒だ!確かそんなようなことが書いてありました。多分。

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Green Hils of Africa

そして頼んだのがこちら、アフリカの緑の丘。ヘミングウェイがアフリカ旅行の体験を基にして書いたノンフィクション小説です。
レシピはローズマリーとターメリック、タマリンド。甘ったるい都会のテイストではない、野趣あふれるアフリカの草原の味。正にアフリカの緑の丘でヘミングウェイが描写したような、開発が進み自然を失った人工的なアメリカ(甘ったるいカクテル)、に対するアフリカの自然の素晴らしさ、を表現した1杯です。(相当大袈裟に言っています。)

色彩もなんだか暗い緑で、きれいな写真がとれませんでしたが、そこがまた媚びておらず男らしくてよい。写真が下手なだけとも言いますが。

ということでこちらは初登場5位も納得の骨太なバー。

実をいうと多少、いや相当に大袈裟に言ってしまいまして、実際はカジュアルに楽しめる良いお店、気張らずにどうぞ。

場所だけが難点で、ランカイフォンの坂の上の上。駅から歩いていくとへとへとです。おすすめは1件目にいくことで、バーホッピングの締めに行くにはちょっとハード。また飲み過ぎて坂を転げ落ちないように注意することも必要です。

 

今回はランキング中でも特徴のある2点を挙げてみました。やはりバーも時代と共に新しいスタイルを取り入れて行くことが必要性なのかもしれません。これからもこのランキングを参考に、いろいろとまわってみたいと思っています。