シンガポールのモルトバー② メゾンドウイスキー (LMDW / Maison Du Whisky)
言わずと知れたフランスのウイスキーリテイラー、メゾンドウイスキー。パリ以外では唯一シンガポールに直営店を構えています。日中は小売り営業のみとなりますが、18時からバーテンダーが立ちバーとしての営業が始まります。
場所はシンガポールリバー沿いの、ロバートソンキーにあります。この辺りは比較的高級なレストランが居並ぶエリアで、日本食からウエスタン、シンガポール名物チリクラブまで一通り揃っており、ローカルというよりは観光客や現地在住の外国人で連日賑わっています。
とても雰囲気の良いエリア。マーライオンまで船に乗って川下りもできます。
以前記事にしたグレンアイラを飲んだのもこちらです。
結論から言うと、良いモルトが揃っています。しかし、ちょっとお高い。
しかしこの高いというのは相対的な意味であって、シンガポールの酒税上仕方ない部分があります。例えばスーパーでジョニ黒が6,000円する国と言えば分かっていただけるでしょうか。よって日本基準で考えると、どうしても割高に感じてしまいます。シンガポールにもリーズナブルなモルトバー、例えばそれこそオールドアライアンス等あることはあるのですが、そういったコレクター的なバーと違って、各種アルコールの輸入代理店を勤めるような、企業が運営するバーなので、仕方ないところがあります。
その代わり日本にはあまり置いていない珍しいボトルが数多くあり、かつそれらは珍しいだけでなく美味しいものが多い印象で、行って後悔するようなことはないでしょう。
今回もいつものように、こちらでいただいたモルトをいくつかご紹介致します。
ボウモア 2001-2017 ARTIST #7
ホグスヘッド、56.7%。
Nose
グラッシーでウッディな始まり、葉巻、塩気のあるピート、徐々に桃っぽいニュアンス。加水するとグレープフルーツのような柑橘系フルーツ。
Taste
麦芽の甘みが際立つ。ナッティ、バニラ、植物的な香りは味わいではミントへと変化。余韻にソルティでスモーキーなピートが続く。やはり加水すると柑橘系のフルーツが顔を出す。
Rating
Good~Very Good
典型的な2000年代の普通に美味しいボウモアといったところ。が、期待したほどではなかった。もう少しはっきりとフルーツが出てくるとよい感じ。
リンクウッド 2008-2016 Signatory for LMDW
バーボンバレル、62.8%。
Nose
バナナ、チョコレート、香ばしい麦、少し乳酸菌的酸味。奥からホワイトペッパー。
Taste
ハイプルーフで、意外にもアルコールの強さはそこまで感じない。チョコレートのような甘みでどっしりとした味わい。余韻に洋梨や青りんご。
Rating
Good
ニューポッティな酸味や香ばしい麦感、短熟にしてはなかなかまとまっており、一方でハイプルーフ故のどっしりとした濃厚な味わいで、結構美味しい。これは期待以上。
以上、2本はブランドは違えどLMDWボトル。ラベルが同じ色合いでした。
オールドプルトニー 1968-1988
加水、43%。
Nose
新鮮なミント、というよりはハッカといったほうがしっくりくるほどの清涼感。エステリーで洋梨やパイナップル。
Taste
厚みのあるオーク、トフィー、ビスケット、ジンジャーやペッパーのスパイス。
Rating
Very good
スコットランド本土の最北端、オールドプルトニーのオールドボトル。非常に滑らかで甘く、そこに加わるスパイスが心地よい。オールドボトルだが生き生きとしたフレッシュなミントの香りがあり、更に加水でもしっかりとしたボディがあり美味しい。シェリー樽主体だが、バーボン系の要素もありヴァテッドしたものと推測する。
最初に申し上げた通り、以上のボトルは(日本基準では)それなりにお値段しますが、当地においては適正価格でしょう。
世界的に有名なウイスキーショップなので、来たからには観光と思って200~300SGD程度握りしめて飲みに行きましょう。流石に老舗だけあって面白いボトルが揃っています。
なおボトル売りしているものの殆どはその場で飲むこともできるので(18時以降)、1本買う前の試飲として大変重宝します。特にこちらのボトルは高いので...
18時前も何本か試飲用ボトルが置いてあって無料で試すことが出来ますが、やっぱりバーが開いてから訪問することをお勧めします。
バーテンダーも皆フレンドリーで親切、おすすめも教えてくれます。モルト好きと分かれば少しサービスしてもらえるかもしれませんよ。