ウイスキーレポート

シンガポール在住の酔っ払いのウイスキー備忘録です。

オールドファッションドのすすめ

 

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Barへ行くときに、特にそれが初めて訪れる場所であった場合に、まず最初に何を頼むかで悩でしまう。

私の場合、色々と飲みたいカクテルやウイスキーはあれど、肝臓の許容量にも限界があり、あれもこれもという訳にもいかないので慎重に選ばなければなりません。いつも一球入魂です。それが旅先など滅多にいけないような場所であれば尚更です。

そこで思案するのです。

まずはジントニックで喉の渇きを潤す、というも悪くないのですが、ちょっと無難。

ではソルクバーノなんてどうだろうか。ちょっとカクテルに詳しいんだぜ、といったアピールもできますが(自意識過剰)、逆にそれが恥ずかしかったりもする。それに海外のBarではほとんど通じない。

マティーニは・・・これは個人的にはありません。やはり初めてのBar、一杯目はゆっくりとバックバーを眺め、常連客が何を飲んでいて、どんなカクテルが人気なのか、じっくりと観察し腰を据え次に何を飲むべきか、いや最後に何を飲んで帰るべきかまで道筋を考えたいもの。よってショートカクテルでは慌ただしく、何より(私には)強すぎて、そのあとの流れがグダグダになってしまう恐れが高まります。私にとってマティーニとは、最後の〆にさっと飲んで、速やかに会計を済まし、タクシーの中で泥酔する、そんなカクテルです。いや勿論好きですよ。

 

そんな私が最初の一杯にお勧めしたいカクテルが、オールドファッションドです。

それは何故か。今回はオールドファッションドの魅力をご紹介します。

 

理由その1.美味い

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いきなり主観的な理由で恐縮です。まぁ殆どこれにつきるのですが、実際一番大切ですよね。

もともと私はウイスキーは好きでもウイスキーベースのカクテルは甘ったるくて好みではありませんでした。ところが、シンガポールのとあるバーで頂いたオールドファッションドを飲んで認識が変わりました。写真がそれなのですが、まずベースがウィレットライとノブクリークのスモールバッチを合わせたもので、とにかくリッチでコシのあるテイスト。更にライム、レモン、オレンジが添えられており、それぞれ個別に絞っても味わいが変わって美味しいですし、混ぜ合わせて自分好みにする楽しみもあります。やはりリッチなバーボンと柑橘のフレッシュ感はとても合うのです。

 

理由その2.バリエーションが豊富である

標準的なレシピは、角砂糖にビターズを浸し、ウイスキー(普通バーボン)を注いで柑橘系のフルーツをトッピング、といたってシンプル。でもこれバーによって、バーテンダーによってかなり違いがあります。

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 こちらは銀座のBarで頂いたオールドファッションド。非常に軽やかな味わい。ベースを聞くと響JHとのこと。それは確かに軽いですよね。特に前者とは対象的な味わいです。なんでも外国人のお客さんにお願いされて作ってみたところ好評で、こちらのスタンダードになったとのこと。

 

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 香港のBarで頂いたもの。ベースは1792スモールバッチとライ。まろやかで豊かな甘味とスパイシーさが柑橘とよく合います。

 このようにベースのウイスキー、選ぶ柑橘、ピールのみか、果肉ありか、どのビターズを使うのか、砂糖は・・・とそれぞれ個性があり、同じ名前のカクテルと言えどもいつも新鮮に楽しむことができるのです。

とあるBarで頂いたものは、ピールさえ乗っていませんでした。聞くと、ベースのジムビームに既にオレンジを漬け込んであるとのこと。うーん奥深い。

このように同じカクテルでも、飲み比べる楽しさがあります。

 

理由その3.記憶に残る。

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 要はバリエーションが豊富であるということと同義なのですが、上記のようにBarによってスタイルが異なるので記憶に残りやすいです。例えば、1回だけ行ったことのあるBarでジントニックを頼んだとしましょう。記憶に残っていますか?ベースのジン、覚えていますか?

ちょっと話がそれますが、実は私にとってジントニックのジンの種類は結構なんでも良かったりします。正直に言うと、よく分からないのです。最近はプレミアムジンが流行っていて、そういったものは美味しいと思いますし、マティーニだと違いが分かりやすと思いますが、ゴードンとかタンカレーとか、トニックで割ったらあんまり分からないです。はい、味音痴です。

その点、流石にウイスキーのベースの違いは分かりやすく、個性的になるのでそれが記憶につながります。まぁ別に覚えていなくてもいいのかもしれませんが、Barの世界も一期一会、あそこではこんなカクテルを飲んだ、こんな話をした、といったことを記憶しておくことは悪くないと思います。

 

理由その4.会話が盛り上がる(かもしれない)

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 一見の場合、お客もバーテンダーもお互いを知りません。どんなお酒が好きなのか、どんなお酒が得意なのか。そんなときにオールドファッションドを頼み、一口飲んでみる。ベースは何を使っているんですか、と聞いてみる。そうするとバーテンダーはなぜこのウイスキーを使っているのか、どんな主義、主張があるのか、きっと饒舌に教えてくれるでしょう。やはりBarに来たからにはお酒の話をしたいもの。特に私はウイスキーが大好き。オールドファッションドをきっかけにして、ウイスキーや、カクテル話がのが盛り上がればより楽しい時間を過ごすことができます。

 

 

まとめ 

以上のような理由から、殆どの場合、私は初めてのBarではオールドファッションドにすることにしています。お店によって違うスタイルを飲み比べる楽しみがあります。ロングなので、まずゆっくりと一息ついて飲むことができます。その間に次に何を飲むかじっくり考えることができます。

でもやっぱり一番大切なことは美味しいということです。ウイスキー、特にバーボンと柑橘系ってあいますよね。

ただ不思議なことにこのカクテル、欧米ではポピュラーですが日本ではあまりでないそうです。こんに美味しいのに・・・

そろそろハイボールブームの次にどうでしょうか。